英語のリスニングーーできない理由5つとその勉強法

仕事の価値観

帰国子女でもない私が、アメリカの大学院へ進学できた。しかも遅めの33歳の時だ。

TOEFLを最初受検した時は46、IELTSは4.5。これがいかに低いか勉強している方なら分かって頂けると思う。スコアがなかなか上がらず、4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)を地道にひとつずつ上げていくしかなかった。

様々な勉強法を試し、結果的に1年ほどでTOEFL105、IELTS8.5を達成し何とか足切りは免れた。大学院ではそれでもかなり苦労した、その後海外で4年働き、日本帰国後もネイティブと仕事をする過程で、私の英語力は徐々に磨かれていった。

今振り返ってみて、一番効果的だった勉強法は何か、今回はリスニングに絞って書いてみたい。

なぜリスニングができないのか?

概ね以下5つの理由に絞られると考えている。

  1. その単語を知らない
  2. その単語の発音を知らない
  3. 発音の変化を知らない
  4. その文法や表現方法を知らない
  5. 日本語で理解しようとして追いつかない

では、どうやって勉強する?

ひとつずつ課題に対して、自分なりの勉強法を書いてみる。リスニングができないからと、いきなりリスニング教材を買うのは私はあまりお勧めしない。やはり順番があると思っている。

1. その単語を知らない|領域を決め、お手製ノートで自分で調べる

知らないものは聞こえない。ある意味当たり前のことだ。

だが、私がこの事実を理解したのは、第3言語として中国語、第4言語としてベトナム語を学び始めた頃だ。英語だとなまじ学校教育で習っていることもあり、「聞き取りができない」と問題を大きく捉えてしまいがちだが、他の言語は本当に一から習っているため、単語そのものがわからないと始まらないことに気づいた。

これを英語に応用すると、まずはコミュニケーションしたい領域を明確に理解すること、そしてその範囲の単語を知ることだと思う。私の場合の中国語やベトナム語は、移動周りと食事が生きていく上で不可欠だったので、まずはそこから始めた。

例えば、移動周りで必要な単語は何か?をまず分解して考える。タクシーを使うなら、行き先を伝える、支払い方を確認する、領収書をもらう、などに始まり、さらに上級編では、通ってほしい道を説明する、止まる、Uターンする、急ぐ、なども入ってくるだろう。電車だと、どこまでの切符を買いたいと言う、プラットホームの場所を聞く、トイレの場所を尋ねる、など。その際の回答を想定すると、現金・カード、領収書、1、2などの数字、右・左、行く、止まる、などを知っておかないとダメだな、など想像する。そして、使用する単語をひとつずつ覚えるしかない。

ここでのポイントは、領域を広げ過ぎないこと。そして、その場面と必要な単語を自分で考えて書き出し、ひとつずつ自分で調べること。この過程を通じて、日本語の単語の成り立ちと英語の違いなどもわかるので、効果的だと思う。ビジネス場面でも同じだ。自分がコミュニケーションする場面をまず絞ってそこで出る単語を書き出す、調べる。本に載っている「旅行関連の単語」などをそのまま見ても頭に入らない。

2. その単語の発音を知らない|発音記号理解は実は近道

1で単語マップができたら、その発音をともに理解する。単語を知っていても、発音を知らないと聞けない。

可能であれば、発音記号を知っていると、一気に発音理解は早まる。初心者で眠たくなると感じるようであれば、いったんGoogle翻訳などでも発音してくれるので、耳から聞くのみで覚えるのもありだが、中級者以上は発音記号を読めないとリスニングの聞き分けができないと思うので、一度気合を入れて勉強しても良いのではないか。英語の発音記号、このサイトはシンプルでわかりやすい。

中国語やベトナム語には、日本語にはない声調(トーンの違い)もあり、発音次第で意味は全く変わってくる。単語の意味だけ分かっても聞けない、通じない。

3. 発音の変化を知らない|リエゾンは何度も聞いて覚えよう

リエゾンと呼ばれるもので、特に「子音」+「母音」で単語が繋がる際の音の連結は、知らないと聞き取りにくく、練習が必要だ。子音とは?母音とは?となる方は、一旦リエゾンの前に、1や2をまず勉強することをお勧めする。

リエゾンの種類は、主に以下の通り。(カタカナは参考までに記載)

「子音」+「母音」で音がつながる場合 (例:take upの場合  テイク アップ–>テイカップ)
「母音」+「母音」で音がつながる場合 (例:you allの場合 ユー オール–>ユウォール)
「子音」+「子音」で音がつながる場合 (例:take youの場合 テイク ユー–>テイキュー)

各々さらに詳細なルールがあるが、ルールを当てはめながらひとつずつ考えていた訳ではなく、典型的なものを何度も聞いて耳で覚えたので、ここで詳細な説明は省略する。

日常的にネイティブがよく使って、最初海外に住んだ時に全く聞こえなかったのはこの辺り。

  • want to:ウォント トゥ –> wanna ウォナ
  • going to: ゴーイング トゥ –> gonna グォナ
  • got to:ゴット トゥ –> gotta グォタ
  • kind of:カインド オブ –> kinda カインダ
  • hang out:ハング アウト –> hangout ハンガゥト
  • put it on:プット イット オン –> put it on プリッオン
  • put it in:プット イット イン –> put it in プリリン

I have got to go. 別れ際に、「もう行かなくちゃ」、という意味で使われるが、I’ve gotta go. となり、haveの’veはほぼ聞こえないので、アイ ゴタ ゴーとなり、別れ際に何か言われたけどなんだったんだろう、と悩んだ記憶も。この辺の発音変化は知らないとどうしても聞こえないので、出てくるたびに覚えて慣れるしかない。

4. その文法や表現方法を知らない|自分にあったやり方を見つけよう

慣用句と呼ばれるもの、例えば、Keep in touch は「連絡取り合おう」の意味だが、この単語の塊として意味を知らなければ、聞こえていても、理解できない(=聞こえない)、と同じことになる。

Having said thatやThat being saidは「そうは言っても」とか「というわけで」の意味で、前の発言を踏まえて次の発言に入る際に使う言葉だが、それを知らなければ、thatは何を指している?とかなぜbeingがここに?などを考えてしまうことになるだろう。

これらの表現法や文法の個人的おすすめは、ニックさんの英会話で、わかりやすく事例とともに解説されていると思う。

または、色々な表現を会話の中で聞きたい、何度も慣れたい、練習したい、と思われる方はオンライン英会話なども有効だと思う。1レッスン129円〜とあり、私はレアジョブで半年間毎朝出勤前に続けた。

5. 日本語で理解しようとして追いつかない|英語で理解し、英語で夢をみよう

これは、上記1-4がある程度わかっている、つまり単語や発音、文法の知識もある人が、それでも聞こえない場合にありがちなこと。いわゆる英語を英語として理解する、言うは易し行うは難しの典型。

これも第3言語や第4言語を学ぶ時に気づいたことのひとつ。日本語は難しくて特殊という事実。

英語を理解する時に、あえて難解な日本語に置き直す必要がないのだ。逆にいうと、日本語に直そうとするからややこしくなる。最初はなかなか難しいが、おそらく1年くらい毎日やり続ければ「英語で夢を見る」日が来ると思う。

  • – 英英辞書で英単語の意味を理解する(テキスト説明)
  • – 英単語のイメージを理解する(画像など)
  • – 構文で覚えてしまう

特にアカウンティングやファイナンスを大学院で学んだ際に思ったのだが、和訳してもわからない、むしろ考え方は英語圏から元々来ているものであり、英語で理解した方がシンプルだと思った経験がある。

英単語を理解する簡単な例では、

月次決算とは何かを知らないと仮定する、Monthly Closingは何だと問われて、英和辞書で月次決算か、となってもそれが何かがおぼつかない。逆に英語で理解するとは、「マンスリー」で「クローズ」か、となんとなくイメージできたりしないだろうか。

イメージで理解する例としては、

Fantasticを辞書で引くと、「空想的な、気まぐれな、途方もない、風変わりな、素晴らしい」などが出てくる。

一方画像で理解すると、こんな感じになる。感情を表現する語彙はよりイメージのほうが覚えやすい気がする。

英語を英語で覚えるために、私は、大学院に行く前は、自分でこれらのノートを作っていた。

構文で覚えるのも、例えば、「私たちがすべきことは、どのアイテムが優先されるべきか決めることだ」What we have to do is to decide which item should be prioritized.とある場合、What we have to do isで一息入れる、つまり区切って強調する読み方がされているはずだ。

この区切り方をトレーニングしたいと思い始めたら、リスニング教材を買う時だと思う。自分のレベルに応じた教材、つまり知っている単語で8割ほどが構成されている教材を買えば、聞きながら書きとるディクテーションを少しずつ行うことができる。ある程度何が書いてあるかがわかるようになれば、同じスピードで少し遅れて追いかけ発声をするシャドーイングなども効いてくる。

このリズム感が英語には非常に重要になる、どこで区切るか、どこを強調するか、発音に加えて、このリズムが大方合っていれば、リスニングも圧倒的に聴きやすくなるし、話す時も多少文法が間違っていても通じるものだ。

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