ゼロで死ね、経済学者も絶賛した最上級に人生に響く生き方と書いてあったので、興味深く読んでみた。ただ生きるだけではなく、十分に生きる。経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考える。そのための背中を押してくれる本だった。紹介されていたルールの中で、自分がピンときたフレーズを書き留めておきたい。
今しかできないことに投資する
人は死に直面する経験があると、自分は一体何をしてきたのだろう、これ以上先延ばしせず、いますぐ本当にやりたいこと、大切なことをすべきだと考え始める。貯蓄に勤しみ、喜びを先延ばししていると、ある日突然できなくなることがある、その時はもうすでに時遅し。
時間とお金は限りある資源だ、いつ、何に使うか。自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずお金を使うこと。
節約ばかりしていると、その時にしかできない経験をするチャンスを失う。人生は経験の合計であり、経験しないと、自分が見える世界がとても小さな場所になってしまう。
一刻も早く経験に金を使う
人生で一番大切な仕事は思い出づくり。最後に残るのは結局それだけ。
経験は継続的な配当を生み出す。記憶という配当。その瞬間の喜びだけでなく、あとで思い出せる、また失敗の思い出であればそれを糧に次の行動を改める、という記憶が生み出す配当である。
無意識な人生の自動運転は楽だ。でも、人生を存分に楽しむには、自らの意思で思う方向に操縦していかねばならない。自らの意思で選んだ経験を積み、思い出を作る。
年齢に合わせて「金、健康、時間」を最適化する
今しかできない経験への支出と、将来のための貯蓄の適切なバランスを取ること。なぜなら、お金から楽しみを引き出す能力は年齢とともに下がっていくという事実があるから。
若くて今後も収入増が見込める状態で、何も考えずに収入の20%を貯蓄していたとしたら、思い出に残る経験にお金を使うチャンスを逃していることになる。
健康状態がよければ、その年齢での経験をより充実したものにできる。一生を通じて健康を維持するほど、人生の充実度をあげられる。とはいえ、どれだけ健康に気をつけていても、加齢には抗えない。その事実が、何をいつ経験すべきかの判断に大きく影響するようになる。
時間はお金よりもはるかに希少で有限だ。心理学の研究でも、時間を作るためにお金を払う人は、収入に関係なく、人生の満足度を高めることがわかっている。
やりたいことの賞味期限を意識する
人は生涯を通じてなんども小さな死を経験する–つまり、人生は次々とステージが移行していく、という意味だ。どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。後戻りができないことだけではなく、それがいつ終わるのかとても曖昧である。
暗い意味だけではない、逆にいえば、いくつもの生を生き、喜びや楽しみを味わえるということでもある。
死ぬまでにやりたいことリストに期間を設定すると、物事にはそれを行うための相応しい時期があることが見えてくる。実際に区切ることで、できたらいいな、から、やりたいことを現実的な問題として捉えられるようになる。
所感
この本は、一生懸命働いてきて、老後を見据えて色々と考える45-60歳の方をメインターゲットとして書いているのではないかと思った。そこに焦点が当たっている箇所は、本の趣旨であっても、あえてピックアップしなかった項目も結構ある。
とは言え、今の自分を勇気付けてくれた観点としては、20-30代に貯蓄もせず、経験に投資してきた私のこれから先の人生はおそらく間違ってはないだろうと思わせてくれたこと。コロナ禍も相まって、自分に対する肯定感を失い、私のやってきた選択は正しかったのだろうか、と不安になることも多かった今日この頃に対し、それで良いんだよ、これから先の経験をどう積んでいくか、前向きに考えようよ、と後押ししてくれているような気分になった。上記の観点は何度か読み直して、日々の実践に役立てたい。
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